talulah gosh's blog

リハビリがてらの備忘録(昔のブログは http://d.hatena.ne.jp/theklf/ )

2022/04/22(金)目で見て耳で聞いて考える

TBSラジオ澤田大樹記者の『ラジオ報道の現場から 声を上げる、声を届ける』を読んだ。ご自身が体験や学びから積みあげてきたラジオと報道と言葉への思い、行動の記録が凝縮した本で、読みやすいのにすごく興味深かった。先に『TBSラジオ公式読本』で「スタンバイ」の森本毅郎さんと遠藤泰子さんの談話や「Session」の荻上チキさんの談話を読んでいたので、ラジオのニュース番組に関わる人々の思いをより立体的に知ることができた気がする。オリパラの元森会長辞任会見前のClubhouseでの作戦会議も見ていてリスナーがうねりを作っていたのもちょうど見ていたから、もうそんなに前の話なのか……と時間の経過の早さに驚いたりして。

報道メディアとしてのラジオの重要性をこんなに丁寧に、信念を持って説いてある本を読むと、時代に合わせて変わるものと変えてはいけないものがなんでもあると思うけど、TBSラジオ朝ワイドのニュース&解説枠はなくしてはいけなかったんじゃないのかなって素人ながら考えてしまった。
そんなことを思っていたら、ちょうど「たまむすび月曜」の「週刊ニッポンの空気」にも小田嶋さんの代わりに出演されていた。現場で取材されているからこそわかる情報が得られてよかった。「たまむすび」は和やかさとポンコツ感が味だけど、パーソナリティのお2人もパリッとした報道モードを出していて、普段都は違ういいスパイスにもなっていた気がする。朝に作業しつつ前日のニュースをざっと把握した上で解説もしてもらえる番組がなくなった不便さもまた実感してしまった。

そういえば昨日、夕方から家族の付き添いでTMRのライブに行った。活動25周年にかけて県内25カ所のみでやるツアーだそうで、県内の企業とコラボしているせいでポスターが目につくのか、どうもファン以外の地元民にも行ってみようという人が多いらしい。クラシックを普段聴きに行くホールで見かけた母が「友達と行ってみたいけどチケットの取り方がわからない」というので、代わりに取ってあげたらなぜか私も行くことになった(幅広い層を狙ったライブをスマチケ販売のみにする意味がわからん。最終的には窓口販売が復活したらしい)。

OBEYのオバマポスターパロのアートワーク、県章付演台のあるステージセット、演説や拡声器を加えた演出。そもそもOBEYネタだしデザイン的にはシュッとしてるけど、元の作品やその背景まで気にする人ってどれくらいいるんだろうか、遡ればロシアアヴァンギャルド的要素もあるから政治プロパガンダの要素が多分にあるんだけどなって考えたらちょっとなあ、と。別にライブの演出として悪いとかではないし考えすぎだとは思うんだけど、冷静に見てた分いろんなことを考えてしまった。

ライブ自体は声が出せないにも関わらず盛り上がっていたし、緩急のある展開で25年もやってる人だけあるなって思う内容だった。一番驚いたのは中盤の盛り上げパートのアッパーな曲の曲間が長めかつ軒並みSkrillexやPendulumみたいなアレンジと音色だったこと。歌うと紛れもなくTMRなのに、インストだけ聞いたらスタジアムハウス的なクラブ乗り。時代の流れで自然とこうなったのか、フェス対応を考えるうちにこうなったのか、いろいろと興味深いことが多かった。アンコールの最後はアンダーワールドのTwo Month Offぽいキラキラものかつ朝が明けるようなライティングで、ライブの演出にも時代性があるんだな……。
個人的には、終始気になっていた脚を振り上げて歌っても裂けずに耐えた強度の高すぎる三つ揃いのスーツのブランドと、ランジャタイの漫才のせいでニコニコしてしまった90年代の有名曲3連発パートが一番楽しかった(知ってる曲がそれしかなかったのもある)。3桁キャパであのクラスを見る機会は今後なさそうだしと行ってみたけど、普段触れないジャンルもなかなか新鮮で面白いもんだった。あと地元のホール、かなり大きいボリュームを出してるにも関わらず耳には柔らかい音だったので意外といいホールだったんだなと見直した。