読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

talulah gosh's blog

リハビリがてらの備忘録(昔のブログは http://d.hatena.ne.jp/theklf/ )

3月18日(土)Spark!第1部ー鈴木コウジロウプレゼンツ「人力映画祭」@新宿バティオス

f:id:theklf:20170320171243j:plain

「若手のものすごくちゃんとした企画ライブが見られる」でおなじみ(私の中で)Spark!に行った。昨年からバイオニとシンブンがずっと見たかったのに、第1部バイオニ空閑さんが出演する企画ライブ、第2部に両方が出演するネタライブと前日に確認して慌てて決めたのだった(諸々の仕事はとりあえず横に置いた)。

7人の出演者が「スタート」テーマにした短編映画をそれぞれ撮影し、各部門にノミネートされた作品の授賞式とインタビュー、上映をするオスカー賞の季節らしい企画。出演者は、企画者の鈴木コウジロウさん、本田兄妹本田あやのさん、バイオニ空閑さん、トンツカタン菅原さん、ロマン峠井上さん、小林ぼっちさん、ボスマジック山口さん。MCは本田兄妹本田ひでゆきさん。「別所哲也さんが代表を務める短編映画祭ショートショートフィルムフェスティバルのように監督たちが…」と企画説明に絡め、「ビッショビショ哲也です」とヒゲや衣装込みで徹底したキャラ設定。

f:id:theklf:20170320171323j:plain

「ありのままのドキュメンタリー映画を撮った」(鈴木)、「やりたいことだけをやってあとは尺持たせ」(菅原)、「映像で先輩方に(こき使われて)成長させてもらった集大成」(小林)、「これを見て主演の2人を好きになってほしい」(山口)、「自分のやりたいことをやった。キャスティングにこだわって選んだ主演3人を好きになってもらえると思う」(空閑)、「映画は上演するまでは映画です」(井上)、「女性ならではの目線で社会問題をズバズバ切った」(本田)と各監督コメントののち本編。

f:id:theklf:20170320171406j:plain
写真:ネクタイの概念を超えたネクタイづかいの菅原監督

〈スライドショー部門大賞〉「菅原のスタート」(菅原)
ダンスを踊るきっかけを振り返り、そこから小田和正の曲をBGMに自らの成長をスライドで追う、3分の2がスライドの作品。見終わった後で冒頭の機材トラブルすらどうでもよくなる威力はやはりすごい。「これは…結婚式に使うものではないですよね?」という問いに「予行演習だと思ってやりました!」と答える期待を裏切らないスター菅原(最高)。

f:id:theklf:20170320171427j:plain
写真:謎の男役類家さん、主役の卯月林田さん、空閑監督

総合美術部門大賞「Run and Run」(空閑)
同級生の憧れの女子(ターリーターキー伊藤)に片思い中の主人公(卯月林田)。窓から彼氏らしき男子(類家)と楽しそうに話す彼女の様子に、自分の気持ちを伝えようと内気な文系男子が走り出す。ようやく追いついた彼女に告白をするが…。

「最後の銃で撃たれるシーンだけ撮れれば他はなんでもよかった」と言いつつも、直球の内気な文系男子、華やかな憧れの女子、得体の知れない男前というキャスティング、ストーリー展開に映像とカット割り、音楽、オチの爆竹を使った特殊効果(ここが普通はない)とすべてがちゃんとした短編映画。私の世代だとPFFアワードの短編部門だけど今ならMoosic Labとかにもありそうな雰囲気で、これ芸人さんの企画ライブだよね!? と驚いた。

f:id:theklf:20170320171502j:plain
写真:山口監督の横で「作品が村八分になってると聞いて…!」と訴える小橋川さんと翁長さん。

宣伝広告部門大賞「魂ず物語」(山口)
「沖縄に帰ろうかな」とメールを打つ翁長と「がんばるから辞めるなんていうなよ!」と言う小橋川。漫才に打ち込む魂ずに焦点を当てる。馬稼業大内を始め周りも見守るそんな2人は3月末にある出来事に向かっていた。

哲也MC曰く「もしかしてあの2人は単独ライブをされる?」とツッコミを入れるくらい、最後まで見るとただの単独ライブの宣伝。監督OPコメント「試写会では失笑が起こったんですが…」に対する「遺憾に思ってます!」、「前2本がハードカバーとしたら圧倒的文庫本感」という魂ずの弁解まで込みで一本の作品という感じ。ブリッジ的に登場する大内さんの印象に残りすぎる演技もいちいち面白過ぎた。小橋川さん曰く「大内が家で『助演男優賞やな』って言ってた!」

f:id:theklf:20170320171533j:plain f:id:theklf:20170320171625j:plain

写真:鈴木監督とラッキーナチュラルボーサイコパス秋のうさぎ秋山さん。

〈ノンフィクション部門大賞「肉体戦士ギガのリスタート」(鈴木)
昨年コンビを組んで即解散した肉体戦士ギガがピン芸人として再出発するにあたっての修行に同行。山奥での修行中に「カッパを探す」というギガにスタッフ全員が困惑する。

「白いセーターのギガがちょっと気になる」からの鈴木監督の「カメラを回すと顔をつくるのでノンフィクションにならないと困っていたらナチュラルボーサイコパスの秋山くんがいてくれて!」発言につきる。ギガの素顔かと思いきや、スタッフとして参加していた秋のうさぎ秋山さんのサイコぶりが受賞のポイントになったとのこと。

f:id:theklf:20170320171705j:plain

写真:井上監督と赤いセンス爆発女さん、青い真空ジェシカ ガクカワマタさん、黄色いいかちゃん。

いかちゃん部門大賞「いかart」(井上)
新宿Fu-でバカ爆走を見て「芸人になろう!」と思い立ったいかちゃん。「お笑いを教えてあげる」と突然現れた極彩色の師匠(センス爆発女)の弟子になり、月5万の月謝を払って“みかんネットのリンゴを食べるネタ”を武器に日々のレッスンに励む。しかし道ですれ違ったアイオタ男子(真空ジェシカ ガクカワマタ)がお笑いスクールからデビューする記事を見て、「本当に私は芸人になれるの!?」と不信を抱く。その一方で、実は師匠は月謝をお笑いスクールに納め影で本当の門出を進めていた…。

キャスティングとキャラクター選び、一捻りありながら誰も傷つかないストーリー。さらに東映「荒磯に波」風OP、メアリーポピンズ風の制作会社ロゴ、エンディングのクレジット(制作委員会方式らしい)と空閑さんとはまた違ったこだわりが随所に現れていて「映画が大好き」というのが頷ける作品だった。出演者として登壇したいかちゃん、セン爆さん、「素材そのままのキモオタ」を演じたガクさんが打ち合わせなのか偶然なのか(特に指摘がなかった)わからないけど黄、赤、青の衣装で並んでいる感じもよかった。

f:id:theklf:20170320171737j:plain

写真:空閑さん作のトロフィーを持つ姿がそれらしい小林ぼっち監督。

北の大地部門「Calling The Fox」(小林)
厳しい冬の大地を過ごすきつねたち。北の国からスタイルで呼びかけてもなかなか出会えない。「彼らと出会うにはどうすればいいのか…」と突然始まる「Calling The Fox」ゲーム。「柵や熊の妨害を「ル」で除け、きつねたちを誘導しこちらに呼び込もう!」

元からあった映像のアイデアを2週間で完成させたという、オリジナル作品も有名な小林さんのインタラクティブゲーム風アニメーション作品。最終ステージでは会場からどよめきと拍手が起こるほど盛り上がっていた。すべてルートを設定してからアニメの形に起こしたそうで、最終ステージの熊4匹攻略はチクタクバンバン的な回廊ルート。追いかけるだけでも精一杯の複雑さだったので手動で組み立てていると聞いて驚いた。OPのアニマルプラネット風の映像含め「全部無料素材ですよ。とにかく人と一切出会わずに済む方法を考えたんです」と言い切る潔さがかっこよかった。

f:id:theklf:20170320171804j:plain

写真:「田嶋陽子さんですか?」と言われていた、こういうフェミニズム研究の教授はどこかにいそうな本田あやの監督。

社会派ドキュメンタリー部門大賞〉「待機児童問題」(本田)
保育所に入れないまま30年以上を待機している本田ひでゆきくん(37歳)の日常を追う。遊具のサンダーをお供に入園を夢見て向かいの公園に日参する彼。「このバランスが一周できたら入園できるって」「できたことは?」「何回もある」。夢はサッカー選手、日の当たらない土手で練習するもすでに湿布がほしいお年頃。過去の映像とお母さんの証言を織り交ぜ、彼の長きに渡る待機の歴史を解き明かす。

いつもより10分長めのお化粧が利いた貫禄十分なあやのさんは、「ひでゆきくんの映像はたっぷりあるのでもっと撮りたい」と次回作に向けての意欲充分。「公園で撮影している時の不審者感がすごかった」、「お母さんにひでゆきくんの話をして、と振ったら何も言わなくてもいろいろ話してくれた」という裏話、別の意味で汗びっしょりになっていたMC哲也氏の様子も含めて最高に面白かった。

f:id:theklf:20170320171902j:plain

写真:映画監督チャートが最高だった前説。
それから前説のサバ缶。初めて拝見したけど山田さん作成「映画監督チャート」は前説にはもったいないほど。各監督にも試してもらった結果や小林ぼっちさんが「ディズニーがよかった!」と頻りに残念がっていたという裏話などもとても面白かった。他の監督の分岐が少なくとも3回はあった中で唯一の「メガネをかけている→ドキュメンタリーを撮りたい→マイケル・ムーア」のワン・ツー・ドン!の三段オチ的わかりやすさたるや。

f:id:theklf:20170320171824j:plain

これでもかと内容の詰め込まれたライブでこれが800円とは正直才能の価格破壊だけどとにかく面白かったので行ってよかった。翁長さんの「趣味の単館上映巡り」という単語もライブ中に飛び出していたけど、こういう内容は今はなき扇町のPLANET+1や四条大宮のスペースベンゲットに行っていた(関西人なので)私のような90年代育ちの胸を掴むものがあるというかなんというか。皆さん準備に2カ月かけられたとのことで頻繁にはできない企画だろうけど、ぜひ2回目もやってほしいと思う。

#ライブメモ #鈴木コウジロウ #本田兄妹 #バイオニ #トンツカタン #ロマン峠 #小林ぼっち #ボスマジック