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talulah gosh's blog

リハビリがてらの備忘録(昔のブログは http://d.hatena.ne.jp/theklf/ )

10月21日(金)Spark!「コピー、コマーシャル、コンノ」@新宿vatios

お笑い

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ザ・フライ今野さん主催のライブに行ってきた。プロのコピーライターを招き、無記名状態で評価された出演者の作品をランキング形式で解説と併せて発表する企画。突発のカルチャー系イベントならいざ知らず、平日通常公演のお笑いライブではかなり珍しい、第53回宣伝会議賞グランプリを受賞した今野さんならでは。

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ザ・フライ今野さんを筆頭に、「パイロット版からの伸びしろを見たい」三福エンターテイメントさん、「芸術系大学のデザイン科卒なのでセンスがありそう」リンゴスター高野さん、「小説を(読んだことはないけど)書いているらしいので」ボスマジック山口さんと自らが気になるメンバーを招集したとのこと。MCは本田兄妹ひでゆきさん。ゲストはTCC賞を受賞しているグランジ五明さんと遠山さん、専門家ゲストにBORDERのCMプランナー横澤宏一郎さん。

小さい頃から書くことは誰もがすることだけど、コピーは「言葉を使う」ことだけが同じでそれ以外の頭の使い方はまったく違う。五感を活かすセンスも必要なら組み立て方のセオリーも知っていなくてはならない、長文なら許される無駄が許されない、メディアの中でもある種の完全武装が必要な表現だと思う。そんなシビアな世界では何を起点として考えるべきか、必要な諸々の要素を楽しく知ることができそう、と期待していた。その手がかりとなるテーマは、前述の芸人さんたちが制作したコピー2種類・ラジオCM1種類。以下、結果。

1.初めて一人暮らしを始める人に向けて「電子レンジ」を必須アイテムだと思ってもらうためのキャッチコピー
1)何で俺、罪を犯してないのに冷やメシ食ってるんだろう。:ザ・フライ今野
2)コンロに火を点けてから、パッケージの「レンジ専用」という文字を見つけた時の絶望感:ボスマジック山口
3)泥棒にこれ持ってかれたら、俺、明日から何食えばいいんだべ。:三福エンターテイメント
4)世の中、冷たいヤツ多いよね。いつでもおいで、あたためてやるから。:グランジ五明
5)生卵以外、すべて温められます:グランジ遠山
評価点:レンジで実際にできるものか、情景が浮かぶものか、情景から転じて「レンジ」を連想させられるものか。万人に受けることより1人が強く思うことを出すほうが人に響きやすい。
選外)人ぼっちの食卓も、人になった食卓も。:リンゴスター高野
 ※意味がよくわからない。

2.大阪まで飛行機でなく新幹線に乗りたくなるキャッチコピー(羽田空港に貼り出すポスターに書くもの)
1)東京駅からのぞみに乗って43分後に見えるあの富士の絶景。見ずに死ねるか:ボスマジック山口
2)次はずーーっと窓が楽しい旅をしませんか?:グランジ五明
3)“なんでやねん”どの駅から使い始めるか…知ってる?:三福エンターテイメント
4)お客様の中に、途中下車しながら大阪行きたい方いらっしゃいませんか:ザ・フライ今野
5)トンネルを抜けると、なんだった?:リンゴスター高野
評価点:意味が通じる、新幹線での情景が浮かぶ、状況や車窓など新幹線ならではの変化が描かれている、新幹線の強みである富士山を活かしている
選外)浮かれてないで、地に足つけてこ。:グランジ遠山
 ※コピー初心者がやりがちな表現。特に何も言えていない。

3.ビジネス英語に強い、「XYZ英会話教室」生徒募集のラジオCM20秒
1)カップルの会話:グランジ遠山
2)時限爆弾:三福エンターテイメント
3)殺し屋と外国人の依頼人:グランジ五明
4)探偵と話しているのは…:ボスマジック山口
5)空港での別れ:リンゴスター高野
評価点:CMらしい声の演出、ラジオCMのセオリーが読み取れている、英会話教室に通ったことによる効果を面白く描写している
選外)聞き流す学習法:ザ・フライ今野
 ※CM内にCMがある二重CMはわかりづらい

個々の評価が一定しないところに、セオリー通りでもセンス一発でも形にならないコピーの難しさがよく出ていた。コピーでは散々だったのに、ラジオCMになると真逆でよい作品が多いという話から「普段からコントを作っておられるのである程度の尺をお渡ししたほうがよさが出ると思う」という横澤さんの総評が興味深かった。同じ文字もアウトプットの仕方で違うものになることが集約されている気がした。
ボスマジック山口さんが最初に「小説はいくら書いてもいいけどコピーはどこまで説明していいかわからない」と話されていたけど、彼のように小説(長文)の執筆経験がある人が参加していたのがよかった。文章を書いた経験がある人ほど(多かれ少なかれ)持つ疑問だろうから。

出演者の芸人さんたちが口々に「勉強になる」、「これは疲れる」、「大変だ」と口々に仰っていたけど、確かにいつもとは毛色が違って面白いライブだった。